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ヴァンフリーは薄く笑い、その手に手を重ねる。
「凪乃羽もいずれ経験するだろう」
「いまは考えない」
ウラヌス邸のセギーをはじめとした使用人や仕立屋のバト夫婦、彼らがいなくなる日が訪れるなど考えたくもない。
凪乃羽が即座に応じると、その意は丸わかりなのだろう、ヴァンフリーは可笑しそうにした。
「とにかく、ロード・タロにとって才のあるローエンは頼もしく映っただろうし、友として不足はなかった。その才覚も不要になれば、孤独のもと愚かにもなれる。ローエンだけではなく、ロード・タロも然り、孤独は時に愚かな暴走を発揮する。そう証明した」
「孤独って、皇帝にはエム皇妃も、ほかにもお城で一緒に暮らしているのに?」
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