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エムは凪乃羽の祖母に当たるが、エムの許可を得ていてもそう呼称するにはまだためらいがある。
それ以前に、フィリルをお母さんと呼ぶことにも戸惑っている。
フィリルでさえ、エムの娘だと知ってもなお、無意識下では“エム皇妃”と呼ぶ。
ふたりが離れ離れでいたのは、フィリルを守るためだったとエムは云った。
自分がローエンに従わなければ、フィリルの永遠は奪われる。
ローエンは直截に口にはしないけれど、そんな脅迫が暗にあったという。
「フィリルを遠ざけたのは皇帝ではなく母だ。皇帝を自分のすべてとし、ほかのだれにも――娘にも目を向けない。そうやって母はフィリルの永遠を守った。そもそも、フィリルはハングの娘ではない」
「え?」
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