3.

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「お母さん、この人、知ってる?」 夕食を取りながら、向かい合って座った母の知未(ともみ)にチラシを差しだした。 講演会のチラシには、わずかに斜めを向いた古尾が写っている。 知未はダイニングテーブルに身を乗りだすようにしてチラシを覗きこんだ。 「知らないわ」 と首をかしげた知未は嘘をついているふうではない。 夢はやっぱり夢なのか。 知未はチラシを手に取ってしげしげと見つめると。 「ずいぶんと見栄えのいい人。一度会ったら忘れない感じだし、芸能人じゃないのよね?」 「そこに書いてあるでしょ。イベントプロデューサー。芸能界との繋がりはあるけど、芸能人じゃない。三年になって、新しい講義を受けてるって云ったの憶えてる? その特別講師の人」 「そうなの? ラッキーね」 チラシから顔を上げた知未は能天気な様子でおもしろがっている。
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