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ワード No64
「パパぁ‥‥何それ、その古そうな本。また何処からか買ってきたワケぇ? ママがため息ついてたわよ?『研究だか何だか知らないけど、ヘンなものばかり買ってくるから2階の床が抜けそうだ』って!」
呆れ顔のアカリには目もくれず、父の準一はそのカビ臭いような『古い本』をニヤニヤとイヤらしい表情で眺めている。
「まぁまぁ、いいじゃないか‥‥今回のは中々の『お宝』だぞ?」
「全く‥‥懲りないんだから」
アカリは溜息をついて、入り口から父親の書斎を見渡した。
「‥‥『文化人類学』だか『考古学』だか知らないけどさぁ。そんなのは大学の研究室だけにしてくんない? わざわざ仕事を家に持ち込む事ないじゃん!」
父が居座る小さな秘密基地には、所狭しとばかりに様々な骨董が積み置かれている。
『アステカの遺跡から発掘された石版』『エジプトで見つかったパピルスの破片』『古代ギリシャで使われていた壺』‥‥
準一にとってみたら『重要な研究対象』かも知れないが、アカリにとってはタダのガラクタに過ぎない。
「ふふふ‥‥アカリには分からんかもな。こうして遥か古代の『文字』を読めば、その時代の状況や周囲の環境、暮らしぶりが分かるだけじゃない。
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