10人が本棚に入れています
本棚に追加
危なかった。どんなアヤしい話か知らないが、もう少しで全世界に向けて『重要機密?』をブチ撒けるところだった。
アカリは肝を冷やした。
「ふん‥‥」
ネズミが鼻を鳴らす。
「センセイが妄想を語るだけなら、自由ですぜ? ただし、あっしは何を聞かれても『ノーコメント』だ‥‥いいかね?」
「ああ、それで充分だ」
準一が再び、本を引き寄せる。
「どうもこの本は『日記帳』らしいが‥‥この本には『特定のワード』が頻出する傾向がある‥‥その中でも私が最も注目したのが『ワードNo64』だ。
このワードには周期性が無い事から、気候など自然現象に関する単語では無いと私は考えている」
自然現象などの『描写』でないとしたら?
それは‥‥『感情』とか『想い』の類?
「この『ワードNo64』‥‥最初の方のページにはあまり出てこないが、最後の方にはほぼ全ページに渡って出現しているんだ。著しいページでは、そのページのほとんどが『ワードNo64』で埋まっているものもある‥‥」
ネズミ(に似た男?)は、黙ってそれを聞いている。
「私は『それ』は、もしかすると『帰る』とか『帰りたい』という意味の単語ではないか?と思いついたんだ。何処か遠くからやってきた旅人が、何らかの都合で帰る事が出来なくなり、その『郷愁』を綴ったのではないか?とね。
最初のコメントを投稿しよう!