ワード No64

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危なかった。どんなアヤしい話か知らないが、もう少しで全世界に向けて『重要機密?』をブチ撒けるところだった。 アカリは肝を冷やした。 「ふん‥‥」 ネズミが鼻を鳴らす。 「センセイが妄想を語るだけなら、自由ですぜ? ただし、あっしは何を聞かれても『ノーコメント』だ‥‥いいかね?」 「ああ、それで充分だ」 準一が再び、本を引き寄せる。 「どうもこの本は『日記帳』らしいが‥‥この本には『特定のワード』が頻出する傾向がある‥‥その中でも私が最も注目したのが『ワードNo64』だ。 このワードには周期性が無い事から、気候など自然現象に関する単語では無いと私は考えている」 自然現象などの『描写』でないとしたら? それは‥‥『感情』とか『想い』の類? 「この『ワードNo64』‥‥最初の方のページにはあまり出てこないが、最後の方にはほぼ全ページに渡って出現しているんだ。著しいページでは、そのページのほとんどが『ワードNo64』で埋まっているものもある‥‥」 ネズミ(に似た男?)は、黙ってそれを聞いている。 「私は『それ』は、もしかすると『帰る』とか『帰りたい』という意味の単語ではないか?と思いついたんだ。何処か遠くからやってきた旅人が、何らかの都合で帰る事が出来なくなり、その『郷愁』を綴ったのではないか?とね。     
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