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時が経てば経つほどに故郷への想いが強くなり、結果として『そういう傾向』になって現れたのではないのだろうか‥‥と」
ふと、アカリは頭に思い描いた。
何処か遠くからやって来て、或いは流されたのか‥‥とにかく『彼』は帰る事が出来なくなった。それでも故郷を想い、ふるさとの言葉で日記を綴り続ける。
何年も‥‥いや、何十年も‥‥
『丁寧に書かれていた』のは、そうして書き綴ることで自分の誇りである『文字』を忘れないようにするためだったのかも知れない。
そして、何時か奇跡が起きて『帰れる』日が来たのなら。その日記はその人にとって掛け替えのない宝物になっただろう。
だが。
恐らく、その『願い』は届かなかった。
帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい‥‥
自分の言葉に直してみれば、想像がつく。
1ページ全てを『帰りたい』で埋め尽くすほどの悲しい『想い』。
それは『その希望』が果てしなく現実味を失っていたからだろう。
だからこその、『強い想い』。
「そしてね」
準一が続ける。
「大事なのは、この『ワードNo64』がどうやら『夜』や『星』を意味するらしいワードと近接して現れる事なんだ。これは不思議と言わざるを得ない。普通、そうした単語が現れるとしたら『海の向こう』ではないのか?とね」
え?
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