ワード No64

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アカリは再び、『ネズミ』の方を向いた。 『彼』の故郷に対する想いが『海』ではなく『夜空』の彼方にあるのだとしたら? そして『高度な文字を持つ文明』‥‥ 「‥‥言いやしたよね? 『ノーコメントだ』って」 『ネズミ』は、下を向いていた。 無論のこと肯定はしないが、さりとて否定もせず。 口の端を噛むその姿は、何処か辛そうでもあり。 「‥‥ああ、そうだったな。『聞いてもらうだけ』で充分だ。それで私は満足だよ」 準一が大きく頷いて、本を『ネズミ』に手渡した。 「これはどうも。それから他言無用‥‥それだけは、くれぐれもよろしくお願い申し上げやす。あっしはこれで『帰ります』んで‥‥」 それだけ言い残して、『ネズミ』は帰っていった。 その腕に、大事そうに『本』を抱えて‥‥。     
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