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「‥‥パパ良かったの?あれ」
アカリが、居間でTVを見ている準一に尋ねる。
勿体なかったと言えば、勿体無いと言えるが。
「いいさ。結果的に『帰るべきところへ帰った』んだ。それが、あの本の筆者の願いだとしたら、それで充分じゃないか」
そう言って、準一はニッコリと笑ってみせた。
その向こうでは、ママが夕ご飯の支度をしている背中が見える。
フツフツと鍋の煮える音と良い匂いが、居間に漂ってくる。
それは、いつもと変わらぬ風景だ。
‥‥そうか。
アカリは、突然に気がついた。
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