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「いや‥‥それが、そのコピーも『NG』でしてね。何しろ証拠が残るのはマズい‥‥」
それを聞いて、準一の顔つきが変わる。
「‥‥お前、ホントにネズミか? 何か様子がヘンだな」
アカリは、ビックリしてネズミの顔を見る。
‥‥え、変装? 双子? 特殊メイク?
「もしかして、この本の筆者と君は何か関わりがあるんじゃないのか?」
『ネズミ』が、ギロリと準一を睨み付ける。
「‥‥随分と察しの良い事で‥‥かなり解読なさったと見える。なら、それ以上は『言わぬが華』ってぇヤツでしょう? あっしも『ヘタな真似』はしたくねぇんで‥‥どうか、素直に渡して下さいませんかね?」
準一が睨んだ通り、どうも『ネズミ本人』ではないらしい。
書斎に、ただならぬ緊張感が漂う。
「‥‥いいだろう。この本は『君たち』にとって大事なものらしいからね。私は他文化に対して常に敬意を払うようにしている。だから『必要』だと言うのなら、それは返却しよう。
だがその代わりに‥‥ひとつだけ、私の『独り言』を聞いてくれないか?」
「‥‥。」
ネズミは黙っていたが、チラリとアカリの方に視線を送った。
「大丈夫だ、心配はいらない。ウチの娘は口が固いからね」
準一が『秘密だ』というように口に指を立てる。
「だっ‥‥大丈夫です!」
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