ワード No64

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「いや‥‥それが、そのコピーも『NG』でしてね。何しろ証拠が残るのはマズい‥‥」 それを聞いて、準一の顔つきが変わる。 「‥‥お前、ホントにネズミか? 何か様子がヘンだな」 アカリは、ビックリしてネズミの顔を見る。 ‥‥え、変装? 双子? 特殊メイク? 「もしかして、この本の筆者と君は何か関わりがあるんじゃないのか?」 『ネズミ』が、ギロリと準一を睨み付ける。 「‥‥随分と察しの良い事で‥‥かなり解読なさったと見える。なら、それ以上は『言わぬが華』ってぇヤツでしょう? あっしも『ヘタな真似』はしたくねぇんで‥‥どうか、素直に渡して下さいませんかね?」 準一が睨んだ通り、どうも『ネズミ本人』ではないらしい。 書斎に、ただならぬ緊張感が漂う。 「‥‥いいだろう。この本は『君たち』にとって大事なものらしいからね。私は他文化に対して常に敬意を払うようにしている。だから『必要』だと言うのなら、それは返却しよう。 だがその代わりに‥‥ひとつだけ、私の『独り言』を聞いてくれないか?」 「‥‥。」 ネズミは黙っていたが、チラリとアカリの方に視線を送った。 「大丈夫だ、心配はいらない。ウチの娘は口が固いからね」 準一が『秘密だ』というように口に指を立てる。 「だっ‥‥大丈夫です!」     
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