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「うむ。しかと聞いて欲しい」
気にしている間に国王が背筋を伸ばし、真面目な顔になる。モコモコでパーツは見えないが。
「は、はい」
つられてこちらも背筋を伸ばす。
ノアは静かにまた、私の一歩後ろに控えた。
「おまえは間違いなく、私の娘だ。理由は、……おまえの母とおなじ、その面差しである」
え? 顔がおなじってそれだけ?
「拾われ育てられたなら、どこに父や母がいるのか」
あ、流石に調べるか。
「そう、ですね。紗倉老夫妻は『りら』とだけ読める紙が一緒に籠に入っていたと言っていました。あと、このネックレスが……」
目を見開いてこちらを見ていた。
ルビーをあしらった、ちょっと豪華なネックレス。
日常的につけられないし、つけていく場所もない。
持っているしか出来なかったもの。
「それは……ミラに、おまえの母に贈ったものだ。棺に入れたはずが……」
白いモコモコに涙がとめどなく零れる。
お母さん、が守ってくれていた?
不思議な感覚と嘘とは思えない涙。
私はきっと、本当に逃がされた姫じゃないかと思えた。
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