第3話 母の名と決意

3/4
前へ
/17ページ
次へ
「うむ。しかと聞いて欲しい」 気にしている間に国王が背筋を伸ばし、真面目な顔になる。モコモコでパーツは見えないが。 「は、はい」 つられてこちらも背筋を伸ばす。 ノアは静かにまた、私の一歩後ろに控えた。 「おまえは間違いなく、私の娘だ。理由は、……おまえの母とおなじ、その面差しである」 え? 顔がおなじってそれだけ? 「拾われ育てられたなら、どこに父や母がいるのか」 あ、流石に調べるか。 「そう、ですね。紗倉老夫妻は『りら』とだけ読める紙が一緒に籠に入っていたと言っていました。あと、このネックレスが……」 目を見開いてこちらを見ていた。 ルビーをあしらった、ちょっと豪華なネックレス。 日常的につけられないし、つけていく場所もない。 持っているしか出来なかったもの。 「それは……ミラに、おまえの母に贈ったものだ。棺に入れたはずが……」 白いモコモコに涙がとめどなく零れる。 お母さん、が守ってくれていた? 不思議な感覚と嘘とは思えない涙。 私はきっと、本当に逃がされた姫じゃないかと思えた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加