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そのすぐ後、いきなり扉がバーンと開かれた。
「え? 」
「リラーー! やってほしいことはないか?! ほしいものはないか?! パパが何で……ふがっふぁにふぉふふ! 」
……どうしよう、ちょっと後悔してきた。
「国王陛下、ノックもせずに何をなさっているんです? 嬉しいのはわかりますが、りら様はドン引きですよ」
国王を羽交い締めにし、口を塞ぐ姿まで綺麗だった。
超人がいる。筋肉があるようには全く見えないのに。
「仲良し、ですね」
ふとそんな言葉が零れた。
「私は! リラと仲良しになりたいぞ! 」
ここまで溺愛されると困る。
「国王陛下、子どもみたいなこと言ってないでください。りら様は俺がご案内致しますので、大人しくしていてください。ハッキリ言って邪魔です」
否定こそしなかったが、ハッキリキッパリ言い放った。
あーあ、いじけちゃった。……あれ?
私は違和感を感じて……無意識に白いモコモコを引っ張った。
ずるっ。
抵抗なく、スッポリと白い塊が落ちる。
私は白いモコモコのなくなった国王から目が離せなくなった。
……なん、で?
顔に皺は見られるものの、綺麗な顔立ち。
そして、何より気なったのは……瞳。
鏡を見た時の私の瞳とおなじ。
「……あったじゃないですか。その瞳、お揃いです」
私は国王に、お父さんに微笑んだ。
びっくりしたまま動かない父が浮いた。
「うわあああ! 」
情けない声を出してノアに持ち上げられている。
だから、どこにそんな力が……。
「何だらしない顔なさってるんですか? ミシェルさん! 国王陛下お願い致します! 」
すごく雑!
少し遠くから足音が響き、メイドさんが現れた。
「 陛下! 行きますよ! ノアさん、陛下の回収ありがとうございます」
真面目そうなクールビューティだ。
彼女もどこにそんな力があるのか、父を引きずって行った。
父はしっかりと白いモコモコを握りながらも、情けない顔をして引き摺られていく。
……私、別の意味で不安になってきたよ。
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