プロローグ いきなりプリンセス?!

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━━乙女ゲームによくあるパターンが頭を駆け巡る。 一般女性がひょんな事からプリンセスをすることになる話。 定石になりつつあるこのパターン。 ……そんなのゲームの中だから、2次元だからこそ許される設定のはずだ。 ましてや現実では起こり得ない。 たった今まで私はそう思っていた。 「申し訳ございません! ……?! もしや貴女は、紗倉りら様ではありませんか?! 」 今私は、燕尾服の、如何にも執事然とした綺麗な青年に手を差し伸べられている。 年の頃は10代後半から20代前半ほど。 キラキラした笑みに私は……、みっともなく口を開いてポカーンとしていた。 急ぎ足の馬車にぶつかり、キャッなんて可愛い叫びなど出ず、おおおう! と言う女性あるまじき声を発して転倒したまま。 慌てて降りてきた男性に酷い顔で固まる醜態を晒して、自分の名前を呼ばれたことに気がつく迄に数分を要した。 「え? は? はい、え? え? え? 」 何故、この人は私の名前を? 混乱して更に百面相する。 「よかった! 不躾で申し訳ございませんが、我が国グラドラシルのプリンセスになってください」 畳み掛けるように2次元の台詞が降ってきた、イケメンの口から。
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