第1話 第1次異種世界大戦

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━━時は……ほんの5年前に遡る。 真冬の真っ只中、年号が変わると同時に最初の異変は起きた。 一瞬、ほんの一瞬。記憶にあまり残らないほどの。 ━━世界全体が光に包まれた。 視界すべてが真っ白になったのだ。 しかし、本当に一瞬。 誰もが気の所為だと思った。 そこから始まった。 ……けれど、発端はもっと以前に。 認識された異変は通信障害からだった。 年明け、皆の休み明けにそれは発覚した。 海外に繋がらない、国内回線以外遮断されたのだ。 原因不明の回線不良は、解明出来ないまま4年。 航空機、船も国内のみの運行を強いられた。 海外と連絡が取れないのでは動かせない。 連日、この不可解な現象について全ての放送局が議論したが、憶測の域を出ず、更に国民を不安にさせるだけだった。 日本は何者かの意思により、鎖国状態に陥った。 ……4年が経ったある桜の綺麗な4月某日、心躍れない入学式や入社式が集中した日、突如として原因が明らかになった。 早朝7時きっかり。 スマートフォン、携帯、パソコン、テレビ、すべてのモニターがジャックされた。 そこに映っていたのは、アニメや映画でしかみないようながっしりとした鎧を着た屈強な男と、これまたアニメや小説でしかお目に掛かれないほどの見事なまでの長く白い髪と白髭が一緒になった老人。 いきなり何の撮影だ、不謹慎だと騒ぎ立て始めた瞬間、白い老人が口を開いた。 『ニッポン国国民諸君』 マイクを通していないのにも関わらず、大き過ぎず響く、静かで重くハッキリした声。 その一言ですべての日本人が戦慄を覚えた。
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