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『私は魔法大国グラドラシルの王、ヘンリー・グラドラシルである』
隣を一瞥する。
『……俺は機械大国ガンドルジア王、オスカー・ガンドルジアだ』
グラドラシル王の朗々とした声に反して、ガンドルジア王の声は低く掠れていた。
『先ずは諸君らに謝罪をしたく思う』
訳が分からない日本人は見守るしかない。
『4年前から最近までこの世界の国々の連絡手段が分断されたのは、我々の敵対国である軍事国家バームグラードンがこの世界を襲ったからである』
襲ったと聞いた瞬間、頭に浮かぶのは他国の安否と自国の行く末。
『我々の世界とこの世界は異種世界であり、通常であれば交わることがなかった。しかし私がバームグラードンを甘く見た結果、諸君らに迷惑を掛けてしまった。申し訳ない』
顔が白いモコモコに埋まるくらい頭を下げるグラドラシル王。
聞きなれない単語の羅列により、大半が理解にあぐねく。
『事の発端は、……バームグラードンが我が国グラドラシルの侵略を目論んだことに始まる』
元々一方的に話しているので、返答を待つことなく続ける。
『同盟国であるガンドルジアと共に何とか均衡を保っていたある日、私に姫が生まれた。どこで入手したのか、バームグラードンは姫を妻にと要求してきたのだ。王子の妻にではなく、自分の後妻にと生まれたばかりの姫を要求してきたのだ』
ロリコン? ロリコンじゃんと囁かれたが、届かない。
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