第1話 第1次異種世界大戦

3/5
前へ
/17ページ
次へ
『私は魔法大国グラドラシルの王、ヘンリー・グラドラシルである』 隣を一瞥する。 『……俺は機械大国ガンドルジア王、オスカー・ガンドルジアだ』 グラドラシル王の朗々とした声に反して、ガンドルジア王の声は低く掠れていた。 『先ずは諸君らに謝罪をしたく思う』 訳が分からない日本人は見守るしかない。 『4年前から最近までこの世界の国々の連絡手段が分断されたのは、我々の敵対国である軍事国家バームグラードンがこの世界を襲ったからである』 襲ったと聞いた瞬間、頭に浮かぶのは他国の安否と自国の行く末。 『我々の世界とこの世界は異種世界であり、通常であれば交わることがなかった。しかし私がバームグラードンを甘く見た結果、諸君らに迷惑を掛けてしまった。申し訳ない』 顔が白いモコモコに埋まるくらい頭を下げるグラドラシル王。 聞きなれない単語の羅列により、大半が理解にあぐねく。 『事の発端は、……バームグラードンが我が国グラドラシルの侵略を目論んだことに始まる』 元々一方的に話しているので、返答を待つことなく続ける。 『同盟国であるガンドルジアと共に何とか均衡を保っていたある日、私に姫が生まれた。どこで入手したのか、バームグラードンは姫を妻にと要求してきたのだ。王子の妻にではなく、自分の後妻にと生まれたばかりの姫を要求してきたのだ』 ロリコン? ロリコンじゃんと囁かれたが、届かない。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加