第1話 第1次異種世界大戦

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『我々は抵抗したが、諦める気配がない。密偵まで送り込んで誘拐まで目論んだ。このままではいつ連れさらわれるかわからない。私は転送の義を行い、異種世界に姫を逃がした。それが20年ほど前になる』 ストーカーだ、とざわめくが聞こえてはいない。 『……問題は転送の義自体が未完成であり、どの異種世界に飛ばされたかわからないことだった。バームグラードンは手当り次第異種世界を襲い、我々はそれを止めるため動いたが、尽く壊滅してしまった。そしてついにこの世界に来てしまったのだ、4年前に。……魔法石の反応をこの世界で感知したこともあり、姫がこの世界に飛ばされたことがわかった。それに従い、我々はこのニッポン国に着手する前に追い返すことに成功したのである』 ここまで戦禍が及ばなかったことに安堵すると共に、他国は壊滅してしまったのかと言う不安が過ぎった。 『諸君らの心配は専ら他国の安否であろう。無事とは言い難いが、倒壊などにより、被害は出たが再建可能の範疇には収めた。再建や復旧には時間を要してしまうことを申し訳なく思う。すまなかった。だが、今暫くはバームグラードンは動けまい。それまでに我々の力を持って再建に助力する。少し時間は掛かるが、連絡手段は早急に回復するよう尽力しよう』 彼らは敵ではない、それだけ分かれば今は充分だった。 たった4年で経済はかなり下落はしたが、回復の見込みがあるのならば希望が持てる。
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