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「ヒヒヒ。シーッ! いっちゃん静かにしないと」
「だったら、ケツ揉んでんじゃねーよ」
声を潜め注意すると、里中は俺を見上げニコニコ顔。
「いやぁ、つい」
ふふふと楽しそうな声。何がついだ。男のケツなんか揉んで何が楽しいんだよ。
ガシガシと手を繰り出し金網を登った。降りると直ぐに里中も登ってくる。
「よっ! と」
上からヒョイとジャンプして勢いよく地面に降りる。
「さてさて、じゃあ行こうか」
里中はキョロキョロと左右を見回しワクワクした目で俺を見た。また俺の手首を掴んで、慣れた様子で歩いていく。
「行くって?」
校舎の裏側へ向かって歩いて行く。部室が並ぶゾーンへ着いた。当たり前だけど、学校は静まり返ってる。誰もいない時間。ポツポツとところどころ外灯で照らされた暗闇。体育館の外灯を見上げれば、電球の周りを白い蛾が鱗粉をまき散らせながらふわふわと飛んでいる。
「こっちこっち」
「つか、なんでいちいち手つないでんだよ」
「ん? 仲良しだから?」
「馴れ馴れしいっつの」
呆れた声を出す俺を里中は「えへへ」と笑う。
部室ゾーンを通り過ぎると、部室と同じ作りの倉庫に着いた。体育祭なんかで使うテントなどをしまっている倉庫だ。入口にはしっかり南京錠が付けてある。
「どこ行くんだよ」
「ここだよ~ん」
里中はブルゾンのポケットから鍵を取り出した。当たり前のように南京錠に差し込み開けてしまう。
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