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「おっけー。まかせて~」  里中は長い足を地面に下ろすと、自転車の動きをガシッと止めてヒョイと降りた。ハンドルを握り自転車を支える。サドルから降り、里中と交代。俺が荷台に跨ると里中が張り切った声を上げた。 「はいはい。じゃ、しっかり掴まっててね」 「あ、安全運転な。絶対、立ちこぎとかするなよ」 「りょーか~い」  返事をした里中が自転車を漕ぎ出す。グンと後ろに体が引っ張られ、「おっと」と里中の腰を掴んだ。 「抱きついていいよー」 「抱きつかねーよ」 「ひゃはは。は~。寒いけど気持ちいいよねー。逸希寒くない?」  里中は紺色と銀色のブルゾンを羽織っていた。下はやんちゃな連中が履いてそうなダボダボの黒のスウェットに赤色のスニーカー。 「別に」 「学校行ってみる?」  里中は嬉しそうに学校を指差した。 「はあ? ってか手、離すなよ!」 「夜の学校ってちょっとワクワクするよね」  当初の目的は学校だ。日を改めてと思ったけど、いっそ今夜仕掛けておいてもいいかもしれない。  考えてるうちに学校へ到着してしまった。  正門の横にある桜の木で自転車を止める里中。 「到着、到着、おりよ~」
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