公孫樹病

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 げんに彼女は講義に現れていない。彼に聞くと休みを取ったらしい、と返事を聞く。どうにも予想外だったようで同級生はありもしないろくろを回しては唸る。 「本人はなんて?」 「違うってさ」  どうにも普段は別段変わりはないがふとした瞬間、空からジャム瓶が降ってくるように竜田は奇妙になるという。 「マザーグースじゃあるまいに……」 「なんて?」 「ごめん独り言。で、気になる気になる竜田さんはどうして休みか聞いてる?」 「あっ、いや」 「君が隠し事なんてできるワケないでしょうが」  特にこの浮かれポンチは特にわかりやすい。特に、だ。表情が思春期のそれだ。季節外れの花吹雪にのぼせ上った、ある一定の年頃にしか見られない横顔をしていた。 「あー……オレも知らね。……教授は知ってたぽいけど」 「なにかあった時は連絡しろ」って言ってたんだけどなぁとしょげた同級に僕は首をすくめた。  ──さっさと告白すればその鬱憤も晴れるのに、と喉まで出かかり……引っ込めた。色々知っている我が身には事情がある。 「ところでおまえ、推理小説とか好きだよな?」 「……まぁね」  会話の切り出しからしてそんな気はしていたのは否めなくもない。 「協力して欲しいんだ」     
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