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「どこにいるの、くるる」
ひららがさびしくて泣いていると、くるるが、ぼろぼろになった羽を引きずって、林の陰から歩いてくるではありませんか。
「どうしたの?」
「ごめんね。きみをもっともっと、楽しいところへ連れて行きたいのに、僕の羽ではもう、飛んでいく力がないんだ」
くるるは、悲しそうにいいました。
「なんだ、そんなこと! 大丈夫よくるる。だったら、私が連れていってあげるわ」
それを聞いたくるるは、ぱっと笑顔になりました。
それからふたりは、コスモスの下で、結婚式をあげました。
「うでわを、どうぞ」
コスモスの花の糸で編んだうでわは、ひららの手にぴったりと似合いました。
そうして、またふたりは遊びました。
ひららが背中にくるるを乗せると、重くて、高い空まではのぼれません。
ひらひらひらひら、ふたりは、花と花の隙間をかけめぐりました。
やがて、ずっとつめたい風が吹いてきました。
冬が来たのです。
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