12人が本棚に入れています
本棚に追加
歩く力もなくしたくるるが、柔らかな枯葉に腰を下ろしていると、ひららが、ぽつりといいました。
「ねえ、くるる。じつは私も、もう、飛ぶことができなくなったの」
「ああ、ひらら」
よく晴れた日でした。
枯葉の布団に寝そべったふたりは、並んで空を見上げました。
どこまでも高く、青い空が広がっています。
「いい天気ね」
「そうだね」
「わあ、くるるの目、空と同じ色になってる!」
ひららが驚くと、くるるは面白そうに笑いましたが、やがて、ぽろぽろと泣き出しました。
ひららは、びっくりして言いました。
「どうしたの?」
「だって、空はあんなに青くって、きみはこんなに近くにいるから。だから、ぼく、幸せだなあって思ったんだ」
ひららは、うなづきました。
ふたりは、だまって、空を見つづけました。
最初のコメントを投稿しよう!