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「え?」
「よし、じゃあ、コーヒー飲んだら買い物行くか」
言葉が聞き取れなかったらしい高田の頭をぽんと叩く。またインフルをぶり返したんじゃないかってくらい赤い顔が可愛い。高田は頭に手を当て挙動不審に辺りを見回した。
「今なんて言ったの?」
(きょろきょろとしてるところも小動物っぽい)
俺はソファに戻って、隣をぽんぽんを叩く。
「ほら、座れよ。冷めちまう」
「ねぇ、今なんて……」
「良いから。米持ってやらねぇぞ?」
からかうように言ってやれば「それは困る」と駆け足で戻って来た。
ぽすんと腰を下ろす高田。ぴったり嵌まるジグソーパズル。
一口飲んだコーヒーは何故か甘く感じた。そっと隣を覗えば、高田も幸せそうな顔をしてカップに口を付けている。
俺はもう一度コーヒーを呷った。
(これからはいつだって言ってやるさ)
――愛してる。
終
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