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「寝込んでるのにヘルプださねぇ奴に言われたくない」
「う……。だって、ヘルプ出したって……」
「いつでもお前に会いに来るっつったろ」
「……っ」
腕の中の彼女はこくんと喉を鳴らした。少しだけ体温が上がる。俺は首を回して、赤く色付いた耳に直接囁いた。
「ただいま」
「………………おかえり」
じっくりと間を置いて小さく呟かれた返事の破壊力は抜群で、思わず両腕に力がこもった。付き合ってるっつーより新婚夫婦みたいじゃねぇかと、俺の思考はどこまでも飛躍する。
腕の中の彼女はもじもじと身体を捩り訴えてきた。
「ちょっ……か、加納。苦しいから」
「高田が可愛いのが悪い」
「!!!」
高田はひゅうっと息を呑んで動きを止める。
ああ、この可愛い生き物に今すぐにでも噛み付きたい。
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