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俺もコートを脱ぎながら応えた。
「そんなことしねぇよ」
高田はふふふと笑顔を作って「あ、コート掛けるわ。貸して」と手を伸ばしてくる。俺はその手を掴み、高田の身体を引き寄せた。
「あっ!」
勢い良く胸に飛び込んできた小さな身体に両腕を回す。俺の腕からどさりとコートが落ちた。
「ちょっ……」
俺の身体に高田の柔らかい胸が押しつけられる。背中に回した腕からもニットの下のなだらかな曲線を感じた。
「んもう。加納っ」
高田は眉を吊り上げて俺を見上げてくる。くるくるとした丸い瞳、滑らかな白い肌、つんと尖ったピンク色の唇。
(怒った顔だってこんなに)
俺は目を眇め、彼女を見下ろした。
「久しぶりに会ったんだ。充電させろ」
「充電って」
「高田不足なんだ。お前も充電しとけ」
「!」
抱き締める力を強めると、腕の中の彼女は大人しくなった。そしておずおずと俺の腰に腕を回してくる。
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