第一話 竜と姫

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 暴力や盗難などが横行するようになり、国の平和な雰囲気はどこかに消えてゆき、原因の解明が急がれました。  国王と王妃は国中の学者や医者などの知識人を集め詳しく調べさせました。そして、それほどの時間も経たずに、その中の魔術師が結論に至ることになりました。その結論は悲惨なものでした。  原因は薫陸香姫。姫は病気だったのです。あるいは呪いでしょうか。  愛したものを、好きなものが美しい石になる呪い。その範囲は国をすっぽりと覆うほどでした。それは、かつて知られていたその呪いの中でも範囲が大きかったのです。  そして、一番悲惨なことはその呪いを消す方法がなかったことでした。  結論が分かるや、国王の対応は早いものでした。  国王がした決断は、国から全国民を避難させること。つまり、久慈之国を薫陸香姫の監獄にすることでした。死刑にしなかったことと姫を馴れ親しんだ国に閉じ込めたのは国王の慈悲でした。  国民と供にいなくなる母親は、「お前なんて産まなければ良かった」と最後に吐き捨てました。姫は知らなかったです。父親である国王も母親である王妃も石化が始まってしまっていたことを。  一年近くにわたる避難が終わり、島には誰も寄り付かないため、ついに薫陸香姫の姿を見るものはいなくなりました。     
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