第二話 宝石の世界に

2/7
前へ
/13ページ
次へ
 久慈之国はカルデラによって作られた国でした。国の見取り図は円形をしており、雲よりも高い壁のような山に縁取られているため、人工的に作った横穴からでなければ入ることが叶いませんでした。  横穴を抜けた先には寂れた街が広がっており、その街の真っ直ぐとした通りの先にはお城が見えます。  円状の国の中心には、脊梁山(せきりょうやま)と呼ばれる小高い山があり、そこには久慈城と呼ばれるお城が堂々と建っているのです。  遠目でも、クリーム色の壁に青色の屋根があることが分かります。クリーム色にはつるつるとした光沢があり、青色はきらきらと輝いています。  しんとした城下町の一本道を抜けていくと、城門に出ます。城門は見上げるほど高く、鉄格子には花や動物などをモチーフにしたような刻印や装飾がなされていますが、開いたままになっているので、もはや城門としての役割は放棄してしまっていました。  近くまで寄って初めて、城壁のクリーム色が大理石であることに気付きます。  開けっ放しになっている城門を潜るとき、ルロは心中で「失礼します」と呟いて通り抜けました。  ゆるゆるとした傾斜を上り続けると道の外れからくすくすと笑い声が聞こえます。声の主を探そうと道を反れると、手入れのされた大きな庭に出ました。  庭に入るとそこには、この世のものとは思えない美しい景色が広がっていました。     
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加