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恥ずかしい気持ちを少しでも落ち着かせたかったのか、実里は頭を下げたままの状態で、おもむろに大きく息を吐いた。
そして、少しずつ頭を上げながらゆっくりと両瞼を開けた実里の目線は、直志がついさっきまで立ち読みしていたその本へと注がれた。
「あ! それ! 私の好きな作家の本じゃんか!! い、伊藤君も好きなの!?」
ついさっきのと同じくらいの声量だったけど、今回は自覚できていないらしく、この事に関して実里が再び頭を下げる事はなかった。
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