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一生懸命に
自分の名前を書いたのだろう、かわいらしい
ミミズのような字で書き殴ってある。
「ふふ、そういえば昔のまりなもこんな字を書いてたわね」
学校配布されている、一冊の本で
バースデーBOOKだった。
誕生日の日に、親御さんへ感謝の気持ちを書いて
プレゼントしましょう。と言う娘も同じのをもらっていた。
「学校名も書いてあるし、明日にでも届けてあげようかな」
電車がさらに横切ると、強い風が襲い
持っていた本のページをめくる。
【おかあさんへ。うちはおかあさんが作るおみそしゅるが大好きです。
おとうふと、じゃがいもが入っています。お兄ちゃんはまーぼーとうふ
がスキだそうです。からいのにねぇ」
それはノートの持ち主が母親に向けた、気持ちが書かれてあった。
読むのは悪いと思っていたが、最初の文に息が止まる。
「どうして……」
娘が私にプレゼントしてくれた、バースデーBOOKの
内容と一緒だった。
私は立ち止まったまま、ページをめくり読み進めていた。
旅行に温泉へ行った話。
誕生日パーティーをした話。
お祭りに行った話。
全部娘と経験した……昔の思いでは書かれてあった。
その後も読み進めていると、赤いボールペンで綺麗に書かれている
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