届けもの~

3/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
メッセージがあった。 【お母さん。いつもおいしいご飯を作ってくれてありがとう。  本当は感謝しているのに、恥ずかしくて伝えられなかった。 ごめんなさい……】 【母さん、俺の事を思って言ってくれていたのに、ごめんなさい。  でもさ、俺大学合格したんだぜ! 母さんと同じ大学なんだ  褒めてくれてもいいんだぜ?】 【みさと、よく頑張ったな。俺はおまえと出会えて  幸せだ。心から愛している】 本のページにじわぁ~と、水滴が広がる。 ポタ…ポタ…と涙がこぼれ落ちていた。 息が苦しく、泣きながら崩れ落ちる。 どうして? どうして涙がでるのだろう? どうしてこんなに悲しくなるのだろう? 泣いていると、視界に誰かの靴が見える。 ゆっくり見上げると…… 私の家族がいた。 何も喋ることなく、スーツ姿の家族が泣いていた。 急激に頭痛が襲い、視界がゆがむ。 「あ……あぁ…あぁあぁ」 「嫌だ! まだ行きたくない! 生きていたい」 「まだ、子供達にご飯を作ってあげないといけないの! お父さんと夜に  お酒を一緒に飲んで過ごすの……」 「どうして……」 それは、一冊の本と家族が送り届けてくれた お供え物だった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!