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だが、それはもう過去の事だ。そしてエドワードは結果誰も殺していない。そして、被害者はそもそもが加害者だ。騎士団を除名されたのだって、著しく軍規を乱したということが大きかったのだ。
「僕も、そう思う。エドワード先輩、もう」
「いや、でも……両方に申し訳が立たないんだ。俺はまだ、ロディの事を完全に忘れられない。なのにお嬢様となんて、どちらにも失礼なんだ」
とても苦しそうな顔をして、エドワードは笑う。その表情を見るのは切ない。エドワードに非がないわけじゃないが、それ以上の同情と被害者の悪意があったのに。
「ちなみに、貴方が気にしている事は彼女も知っているのですか?」
話を聞いていたアルブレヒトの問いに、エドワードは静かに頷いた。
「好意を伝えられた時に、話をしました。旦那様にも、改めて」
「その事を、彼女はなんと?」
「一緒に、泣いてくれました。そして、とても素敵な恋だと言ってくれました。沢山想っていて、きっとロディも嬉しいだろうと。だから、俺の気持ちが傾いてくれるまではと言ってくれて……それも、申し訳ないんです」
俯いたエドワードは、だが次には顔を上げて苦笑する。そして「夕食の手伝い等をしてきます」と言って出て行ってしまった。
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