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「どうしてですか?」
「縁が消えそうです。きっと親は、彼らを諦めたのでしょう」
悲しそうなアルブレヒトの言葉に、ランバートは言葉を飲み込んだ。
「縁はとても不思議です。生者と死者の間にもあり、強ければ切れる事がない。世を跨いでも消えない縁もあるくらいです。でも、諦めてしまうと自然と切れてしまう。あの子達はこの世界で生きる事を前向きに考え、歩み出している。そして親は既に子は死んだのだと、諦めてしまっている。こうなると切れてしまって、引き合う力が弱まってしまう」
それでもアルブレヒトはラン・カレイユ奪還後に彼らの親を探す事を約束してくれた。
ランバートとしては、複雑だった。これまでも、人の導きは不思議だと自然と思っていた。友ができた事や、離れていても巡り会う事、敵だった者が身近にある事。アルブレヒトの言う、それが縁なんだと思う。
ハムレットとチェルルの事もそうだ。チェルルを得て、ハムレットの溺愛は影を潜めた。むしろいい感じの距離ができて、案じてくれているのを感じる。
ハリーとヴィクトランもそうだ。あんなに離れていたのに、巡り会った。
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