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「……ロディの墓を、こちらに移したいんです。彼には身よりがなく、ロッカーナは遠いので。でも、そんな……」
「きっと大丈夫ですよ」
「……伝えてみます」
憑きものが落ちた。そんな様子を不思議に見ていたランバートにも頭を下げて、エドワードは部屋を出て行く。足取りは、とても軽く見えた。
「何をしたのですか?」
思わず問いかけると、アルブレヒトはまったく悪びれもしない笑みを浮かべた。
「ロディとの縁を切らせていただきました」
「え! いつ!」
むしろ、どうやって……。
思っていると、徐にアルブレヒトが隣りに座ってランバートの肩をポンポンと叩く。なんでもないボディータッチ。だけど、まさか……。
「俺はこのままでいいです!」
「あはは、勿論ですよ」
「……怖い事しますね」
こんな簡単に縁切りなんてされたら、本当にとんでもないじゃないか。
思わず距離を取ったランバートに、アルブレヒトは寂しげな顔をした。
「今回は特別。それに、ロディはエドワードの幸せを願い、エドワードは苦しみながらも進もうとしていました。私がしたのは、最後の一押しです」
足を組み、酒を飲んで、こうして見る人はやはり人より少し神聖な者に見える。色合いがそう見せるのか、彼の持つ神聖がそうさせるのか。
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