森の少女

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「ダン、その子は?」 「保護した。どうやら泉の側に住み着いていたっぽいな。小屋があって、その中で男共に犯されてた」 「一人で?」  こんな森の中に、まだ十二~三歳の少女が一人で住んでいたのか?  だがその問いかけに、ダンは静かに首を振った。 「近くに新しい墓っぽいのがあったし、小屋の中に生活痕があった。どうやら、母子だろうな」  心配して駆け寄ったクリフに少女を明け渡したダンが、嫌なものを見るような顔をして頭をかく。どうにも、落ち着かない様子だ。 「襲ってたのは盗賊風の男五人、うち三人はゼロスとボリスが斬り倒したが、二人逃げた。これまでの気味の悪い奴等じゃなくて、ゲスだが生きてたな。その子、相当酷い状態だった」  まだ幼い少女に、大の大人がなんて無情な事をするのか。泣き腫らした目元に、殴られたのだろう細い体に痣を残して、血痕や欲望の跡も生々しいままだ。 「あの子、気味が悪い」 「アルブレヒトさん?」  ふと口をついたアルブレヒトは、少女を見て嫌な顔をする。眉根を寄せ、どうにも落ち着かない様子だ。 「心が空っぽです。魂まで抜けたような」 「どういうことですか?」     
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