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ランバートが前に出ると、側にキフラスがつく。自然と任せられる相手がいるのは心強い。キフラスが敵と切り結ぶと、どこからか矢が飛んでくる。彼はそれをちゃんと分かって避けられる。その分ランバートは射手の方角を見つけてそこにナイフを投げた。
「きゃあぁ!」
ガサガサと音がして人が落ちたのを感じると、そこへと駆けていく。キフラスと切り結んでいた相手が慌てて走ろうとしたが、キフラスはそれを許さず相手に手傷を負わせた。
ランバートが音を頼りに木の根元に行くと、そこには一人の女性が倒れていた。ナイフは見事に女性の肩に刺さっている。弓は落ち、弦が切れていた。だが彼女は生きていて、時折身じろいでいる。
とりあえず縛りあげ、自陣に運ぶ事にした。ロープで足と手を拘束し、口には布を噛ませておく。そうして振り向くと、キフラスも相手を生きたまま拘束していた。
「女?」
驚いたように赤い目を丸くしたキフラスは、悔しそうな男を見る。男女がペアになっている。その意味は、深いように思った。
「自陣に運ぶ。何か、分かるかもしれない」
「分かった」
思えば自陣から離れている。焚き火の光は見えるものの、人の影は見えない。ランバートはキフラスと共に自陣へと向かい走った。
自陣ではアルブレヒトとコナンが主に弓兵を狙って矢を番えている。
「クリフ、治療頼む!」
「ランバート!」
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