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こちらを見て、クリフは慌てて近づいて女性の治療を開始した。男の方も斬られた傷がある。それらを丁寧に洗い、深ければ縫い、薬を塗って包帯をしていく。
「大丈夫そうか?」
「命に関わらないよ」
笑ったクリフに笑みを安堵の笑みを浮かべて貌を上げた。その瞬間、ランバートの目は恐怖に揺れた。
「アルブレヒトさん!」
「!」
ふらりと少女が立ち上がり、何も映していない目をアルブレヒトに向ける。その手には細い管のようなものが握られている。それを、口に持っていった。
キフラスが走り、ランバートも走った。だが少女の動きが速い。無心のまま吹いたそこから真っ直ぐに銀色の物が飛ぶ。至近距離だ、外さない。
「駄目!」
アルブレヒトの背後を狙ったのだろう。だがその前にコナンが入り込んで銀色のそれを受けた。腕に刺さった事でそこを抑えたが、あまり痛そうにはしていない。見れば左の腕に羽根のついた針が刺さっていた。
「貴様!」
キフラスが少女の体を地面に引き倒して腕を捻り動きを封じる。その間にランバートは少女の手から筒を取り上げ、コナンを地面に座らせて針を抜いた。
「クリフ、水!」
「こっち!」
傷を水で綺麗に洗う。これがただの針であるはずがない。アルブレヒトの暗殺を狙うなら毒が塗られているはずだ。
「コナン、体の具合は? ほんの小さな痛みとか、違和感でもいい」
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