森の少女

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「ううん、大丈夫。今の所は何も」  コナンも戸惑いながら答えた。その時少女の口から唸るような悲鳴が発せられた。 「なっ」  抑えていたキフラスもあまりの形相に恐れて体を離し立ち尽くしてしまった。  少女は全身を痙攣させてジタバタと四肢をバラバラに動かしたかと思えば、やがてがくりと力が抜けた。 「口の中に毒を仕込んでいたのでしょうね」  アルブレヒトがぽつりと溢す。そしてコナンの腕を見て、不安そうな顔をした。 「針に毒を塗っていても、量は微量。それでも暗殺となれば、ジワリと広がる可能性があります。ここで対処するには限りがある。できるだけ早く砦に運びましょう」 「せめて毒の種類が分かれば」  ランバートは力尽きた少女の服を探って、その袖口に数本の同種の針を見つけた。だがそこにはこれという特徴はなく、特定には至らない。 「コナン!」  やがてそれぞれ敵を撃退した面々が戻ってきて、コナンを案じた。そしてとりあえず先に進むことを決めたのだった。
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