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今回は毒を受けた可能性が高いのが如実だった。だから本人の意識があるうちに活性炭を飲んでもらった。本来は経口摂取による毒の吸着に力を発揮して体外排出をするものだが、血中の毒素も吸着させて外に出す事が軍医の研究で分かってきている。
何よりもまず、治療できる環境につれて行く事が先決だ。
そうして馬を走らせていると、不意にアルブレヒトの手が上がり隊列が止まった。
「コナン?」
声をかけるアルブレヒトに僅かな反応を示したコナンは、必死で息をしている様子だった。
「どうしたコナン?」
気持ちは焦ったが、穏やかに聞いた。声が小さい可能性もある。馬を降り、脇の草地に横にして、クリフも側にきた。
「なんか、ね、苦しい」
「他は?」
「目が、回る……胸の辺りが、へん……」
本人に自覚のある症状はこのくらいなのか、それとも辛いのか。だが、口角が上がりきらず唇が震えている。指先も違和感がある。
「馬を走らせている間、僅かですが嘔吐く感じもありました」
クリフがすぐに脈を測り始め、すぐに異変に気付いた。
「脈の触れ方がおかしい。一定に触れない」
「事件から二時間経つか経たないかだ」
毒の事ならと側にいたチェルルが時間を確認する。
不整脈、嘔吐感、胸部不快感、唇の痺れ、動悸、めまい、毒を受けて二時間程度での自覚症状。
「ランバート、多分」
「俺もそうだと思う。多分、トリカブトだ」
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