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森の少女
翌日、多少の装備を積んでランバート達は出発した。
見送りの時、エドワードの隣りにはエメリナが自然な形で立っている。これといって変化があるわけではないが、とても自然に。
「思いは簡単に風化をしません。ですが、エドワードは踏み出す準備を始めました。この争いが終わる頃には、よい報告が聞けるかもしれませんね」
馬上で見送りの場面を思い出していたアルブレヒトが嬉しそうに笑う。そしてそれに、ランバートもクリフも穏やかに笑って頷いた。
道は緩やかに曲がりくねりながら森の中を行く。しばらくは海も見えていたが、日が高くなるくらいには見回す限りの木々ばかりとなる。徐々に海岸線から離れ、少し内陸に入るのだ。
「馬がバテてきてるな」
馬の首を緩く撫でてやりながら、ダンが口にする。確かに馬は少し疲れたようだ。ぶっつけで四時間は乗っている。激しく走らせてはいなくても重量のあるダンなどを乗せた馬は重さもあって疲弊している。
「少し森を入った所に泉があると思う。馬の休憩をかねて、俺達も昼食にしよう」
昼食の時間にはまだ少し早いが良い機会だ。ここから少し行けば綺麗な泉があり、その畔で休める。馬にも食事と給水ができる場所だ。
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