前線砦

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前線砦

 とにかく急ぎたい。コナンの体を毛布にくるんだアルブレヒトが自身の馬に大切に乗せ、コナンの馬には捉えた捕虜二人を拘束して乗せ、コンラッドの馬に繋いだ。  そうして、取るものも取りあえず馬を走らせている。  走るランバートの更に先をゼロスとボリスが走り、敵の姿がないかを気にしながら進んでいる。  ランバートの隣りに並走するよう、アルブレヒトが馬をつけた。様子が違えばすぐに馬を止める事になっている。その為、クリフも側についた。  気持ち悪い感じだ。毒が塗られていた事は間違いがないのに、毒の特定ができていない。更に本人に自覚できる症状が今はない。現状、検査もできないのだからどんな毒でどんな症状が出るか分からない。  毒はバカにできない。一気に致死量を煽れば急激な中毒症状がその場で出る。だが急性中毒を起こさなくても侮れば死ぬのだ。むしろ、遅効性の方が厄介かもしれない。いつ毒を受けたのかも分からず、初期治療もできず、症状が出た時には手遅れの時もある。     
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