第一話「ディアボロイド」

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第一話「ディアボロイド」

覚醒プログラムが起動した。  睡眠カプセル内は、光も音もない静寂なる空間であった。  切り離されていた重力システムがもどり、宙に浮いていた体がゆっくりとシートへ沈む。呼吸器マスクのロックが外れ、音もなく収納された。  つま先から頭部まで光が横断し、スキャンが終わると測定されたデータが側面へ表示される。 (オールクリア) (ディアボロイドナンバー・G7‐106714) (デストシア銀河帝国軍第一艦隊旗艦・戦艦ラベリウス所属) (主郭制圧部隊・デストシア騎士団アルファ隊二番組副長) (アイオレス・オーティアギス) (覚醒)  やわらかな明かりにうながされ、アイオレスは目を覚ました。  作戦時間が近づいたため、帝国軍侵攻スケジュールにより強制的に覚醒させられたのだ。出撃前に総旗艦ルシフェンヌにて、デストシア皇帝ゼノンからの教戒を受けるためである。  体に重力がもどると血圧が回復し、曇っていた意識もすぐに鮮明となる。  カプセルが開くと、アイオレスはゆっくりと立ちあがった。照明が落とされた部屋には他に誰もいない。しばし動かず、体のようすを確かめていたが胸に手をあてると小さく首を振った。     
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