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「中身のないハンバーガーが愛くるしいっていうの?」
「あなた哲学的なことを聞くのね」
「全然そんなことないと思うけどね、すごく物理的よ」
「まあいいわ。それでね、その男が何で変かっていうとすごくいちゃもんつけてくるのよ」
「例えばどんな?」
「ポテトが少ないとかハンバーガーに何も入ってないとかホント信じらんない」佑子は憤慨した様子だった。私にはその顔の意味が全く分からなかった。
「それあんたのせいじゃない!」
「最近ではナゲット頼んだら箱だけだったとかも言われたわ。」
「お前、箱だけにしちまったのか!」
「大体ねえ、私に頼んでまともに届くと思ってるのがおかしいのよ」
「もう辞めちまえ!」
佑子は私をじっとみた。まじめな顔で重々しい雰囲気だった。私は言ってはいけないことを言ってしまったのだと思った。
「私は辞めるわけにはいかない」
「どうして?」
「こんなにおいしい仕事はない」
「いいかげんにしろ!」
私はこの程度の悩み事しかない佑子がうらやましくなった。
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