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そもそもこの賞で受賞するには、悪魔と契約しなければならない。悪魔の血と自分の血を混ぜたインクしか認められていない。その専用のインクを使って、賞専用の高額な用紙に書いた作品でなければ上位入賞すらできないのだ。
そんなルールは応募要項には記載されていない。しかし、暗黙の了解としてまかり通っているのだ。小説の内容ではなく、インクと紙の種類でふるいにかけているのである。この時点でおかしい。
ただでさえ、魔王の支配のもと言葉が奪われ、文字を読める者も少なくなっている。そんな状況で、この賞に応募する者はある程度文字を扱える魔王の息のかかった者ばかり。そして最優秀賞の商品は、魔王直属の配下となり裕福な生活ができる権利となれば、貧しい生活をおくっている者ほど飛びつくのは必然。内容も魔王に対して媚びたものばかりになる。
今回も選ばれている作品は、魔王に媚びているものばかりだ。たくみにごまかそうとしているが、分かる者には分かる。
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