お詫び

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例えば優秀賞に選ばれた『先のことは考えるな今飛べ』。この作品の主人公が空を飛ぶきっかけになるのは、魔王らしき人物からの助言からだ。作中では「大きな翼を持つ英雄」の翼人間と表現されているが、このキャラクターの言動やふるまいが魔王そのものだ。 この作品を書いた者が魔王の著書『王の飛び方を教えよう』を読んでいるのは明白だ。随所に『王の飛び方』からの引用が見られる。 『王の飛び方を教えよう』は、自己啓発書の類であるが、その内容はいかに魔王の力が万能かをアピールするものだ。 もともと農民の子供だった勇者が悪魔と契約したことで力を持ち、先代の魔王を倒し、自らが魔王となった。この魔王の出自を知る者ほど、魔王こそが己の権力に溺れていることがよく分かっているだろう。魔王は『王の飛び方を教えよう』でも自身の出自をごまかしている。 著書の中で、しきりに「お前も努力すれば私のように飛べる!」と言っているが、魔王が言う「努力」とは魔王の言いなりになって媚びを売ることに他ならない。
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