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魔王は自分に媚びを売ってくる者が好きだ。さらに言えばエルフの女が好きだ。だからエルフの女が使う言い回しも多用した。きっと授賞式まではエルフの女が書いた作品だと疑っていなかったのだろう。
だが事実は両腕を斬り落とされた醜いゴブリンの男の作品だ。授賞式で私が姿を現した時の魔王が驚く顔!落胆する表情はそれはそれは滑稽なものだった。
魔王が私に対し最優秀賞の盾を渡そうとした瞬間に、王の玉座から伸びたするどく尖った石が魔王の心臓を貫いた。これもゴーレムの技術の応用だ。魔力が込められた悪魔の血を注げば自在に動かせる。ゴーレム技術と悪魔の血を深く理解している私だからできるが、ゴーレムに対しほとんど知識のない魔王には盲点だっただろう。
魔王は自らの玉座に心臓を貫かれるかたちで死んだのである。魔王はいくら魔力が上がっているとはいえ、もとは人間なので心臓を貫かれたらもろい。何より、よもや両腕のないゴブリンに殺されるとは想像もしていなかったのだろう。油断が、自身を死に導いた。
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