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「えええええええ――――――――――――!? 神様? 田んぼの神様? たのんって神様だったのか!?」
たのんはここぞとばかりに腰に手を当て、えっへんと胸を張る。
どうやら異論はないらしい。
ということはまさかのまさかで本当に、たのんは田んぼの神様、なのか……。
「ああ、だから俺、田んぼを手伝えとか言われたのか。そういうことか。田んぼの、神様だから……」
なんだか全てが腑に落ちて、だけどまだまだ謎は深まった。
じゃあなんで神様が俺ん家の田んぼに落ちてたんだ?
「はあ、豊作がたのかんさぁに取り憑かれちょったとはね。こいは珍しかこともあるもんじゃ」
「まったくね」と母もしきりに頷いている。「でも、豊作にたのかんさぁが憑いてるってことは、なにかしら、今年の米はいいできになりそうじゃない? それこそ、お父さんが望む、日本一の米になったりして。AAAランクのお米とか」
母の無邪気な発言を誰も笑わなかった。
トリプルAランクとか、そもそもないのに。米の一番いい評価は特Aだというのに。
ばあちゃんも実も晴も、「ありえる」と言わんばかりに頷いている。
そして、俺を見つめ、見えないたのんの姿を見つめたあとで、なぜか拝まれた。
「たのかんさぁ様、豊作を捧げますので、なにとぞよろしくお願いします」
「ちょ、ちょっと待て、人身御供かよ。やだよ。俺はたのんへの捧げ物じゃねぇぞ!」
なむなむなむと拝まれて、俺は泣きたくなった。
正体がバレたたのんはこんな状況に陥っても、ただにこにことしているだけだった。
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