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歩の中で放出し終わった真司が、縮み始めた性器をすぐに引き抜いた。歩から体を離し、素早くベッドから降りた。
「トイレ行ってくる」
「ん……」
ぼんやりとしたまま返事をする。ベッドサイドのアロマランプが放つ、橙色の光をぼんやりと見ていると、トイレの流れる音がした。続いて、シャワーの流れる音、ドアが開く音――。
歩はだるい体を無理して起こし、ベッドから出る。中に出された精液を、バスルームに行って掻きださなければならない。そうしないと、翌日に、高確率でおなかを壊す。
事後処理をしてバスルームから出ると、キッチンの方からみそ汁のにおいがした。とたん、歩のおなかが条件反射でぐうと鳴った。
今晩の夜食は、おにぎりとみそ汁と予想した。
歩はバスタオルで軽く体を拭いてから、洗面台の前に立った。
自分の顔を見る。もうすぐ三十路になるが、なかなか肌に張りがある。白くてきめが細かい。屋外スポーツをしないせいかもしれない。襟足が長めの髪は、癖のないストレートだ。染めていないが少し茶色っぽい。目はくっきりとした二重で、弛みも腫れもない。鼻は高い方だが嫌味なほどでもない。唇は薄紅色だ。今は冬だが、乾燥で荒れることもない。
自分の頬を手のひらでさらりと撫でた。滑らかだ。髭を剃らなくなってから、どれぐらい経っただろう。
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