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 土曜日の午前十時。  歩と真司は、百花たちと新宿のカラオケボックスで打ち合わせを行った。個室だし、部屋も広めで、大きなテーブルもある。周りに聞かれたくない話をするには、絶好のロケーションだ。  テーブルには結婚式場のパンフレットが数冊、大学ノートが一冊、四人分の筆記用具が載っている。  L字型のソファに、奥から百花、その恋人の絵里奈、真司、歩の順に座った。 「とりあえず、結婚式をいつ、どこでやるか決めて、招待客のリストアップをしないとね。あ、入籍の日も決めないと」  百花がその場を仕切っていた。彼女は普通のデートのときも仕切り屋だ。肩ぐらいの長さの茶色い髪が、派手な顔立ちにマッチしている。美人で賢い女。この女性と自分が結婚するのだ。だが、実感がわかない。他人事のようだ。 「俺は土日だったらいつでも良いよ」  歩が言うと、百花が呆れたように笑った。 「土日って当たり前でしょ。平日に招待したら、来られない人続出だよ」 「あーそっか」  絵里奈がくすくす笑って歩を見た。  彼女は百花に比べると地味で大人しい。顔は可愛いタイプだ。長い黒髪で、お嬢様っぽいが、話を聞くと庶民全開で、そのギャップが楽しい。     
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