雪の中で君と

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季節は冬。 しんしんと雪が降り積もる中を、ひとり歩く。 こんなに寒くて雪が積もっては、好き好んで出歩く人もいないようで、街はまるで人が住んでないみたいに静かだ。ひとり道行く僕の足音だけが、辺りに響く。 踏み固められていない雪は歩きにくくて仕方なかったが、僕はあえて選ぶようにして綺麗な雪の上を踏んで歩く、好き者という訳だ。 木々の間を抜けるように進むと、不意に人影が現れた。 「……誰もいないかと思った」 「私も、そう思ってたんだけど」 久しぶりに再会した彼女は美しく、雪の白さがよく映える。 一面に銀世界が広がる中、僕ひとりだけが取り残されたという妄想よりも、ドキドキした。 この出会いが、何か特別なイベントを起こしてくれる気がする。
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