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「おい、みんなぁ、聞いてくれー!一度しか言わないから、その多種様々な
耳とか、耳の役割をしている角とか触覚を駆使してよく聞け~?」
人間と狼の合いの子である俺事“ウルフェン”は
(父(人)と母(狼)の馴れ初めは“強引”じゃない、ちゃんと“合意”の上でだ)
森の広場に集まった異形のモノ達を見回し、全員が理解できるように言葉を慎重に選んで、喋る。
何しろ、言葉は理解できても、「ウー」とか「ガー」しか言えない奴がほとんどだからな…
ウチの連中は…
「本日、未明…俺達の指導者であり、森の暗い部分の代表“シヴァ姫”様のだな。
穿いてる…ん?身に着けてるって言うのか…なぁっ、ドラコ?どっちが表現的には
正しい?あっ、穿いてるね。OK、OK!穿いてるだな。“パンツ”がな!
そうそう、あの人間の文化の賜物的な衣類!森の明るい姫の贈り物がな!
無くなったんだと。そんで姫様は困ってる訳だ。
だから、間違えて持ってった奴とかな。最悪、盗んだ命知らずはだな。
速やかに名乗り出て。
おい、うるさいぞ?そんなに慌てるな。お前等。
姫も今ならな。軽いお仕置き程度で済まして。なぁ、姫さ…」
「我が斧の錆にしてやる…」
野性的なファニーフェイスを憤怒に変え、斧をギュッと抱きしめるシヴァ姫の一言で、
広場にいた全員が騒ぐのを止め、我先にと森へ逃げ込み、タイミングを完全に逃した俺と
相棒の、空は飛べない半端モンドレイク“ドラコ”、そして怒り心頭の姫3人が
ポツンと非常に重々しい雰囲気の中に残された…
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