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「あなたは一体何者?」 「……死神とは反対の存在、かな」  そう言って食事を続ける。生気がない見た目に反し、黒い物体を頬張る姿は色っぽくもあった。 「なんで、こんなことするの?」 「だって、このままほっといたら君……。それに、これが使命だから」  黒い固形物を一つ飲み込むと、また穴に手を入れて取り出した。さらに、だるさが少し和らぐ。丁寧にマッサージをされ、コリが取れていくような気持ちよさがある。あまりの気持ちよさににやけているような気さえした。すると、彼と改めて目が合う。 「いつまでも居られるわけじゃない。同じような人間がまだまだいるんだ。また、ボクと会うようなことはするなよ」  そう聞くと急に恋しくなってしまった。この温もりを手放したくない。私は彼の左手に腕を伸ばしていた。力が入らない中、精一杯その手を握りしめる。すると、それに気づいたように彼は手の甲で頭を優しく撫でた。 「今までよく頑張った。今は身を委ねて休んでいいんだよ」  彼は聖母のように笑ってみせる。身体の温もりや鼓動、息遣いが身に染みた。目頭が熱くなり、涙が頬を伝う。  すると、彼は左手でその涙を拭って、寝かせるようにトントンした。私はそれを甘んじて受け入れたあと、そのまま意識を手放していった。
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