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 眩しい日差しと鳥のさえずりに目を開ける。私はいつの間にかパジャマに着替え、ベッドに寝ていた。やっぱり夢だったか。  しかし、起き上がってみると不思議と身体は軽かった。朝特有のだるさもなくスッキリとしている。前は太陽の眩しさから憂鬱になったのに。時間を確認すると、6時半を指している。私はベッドから起き上がると身支度を始めた。  スーツに着替え、化粧を施していく。外は支度する影がはっきり映るほど、晴れていた。こんなに天気がいいなら、何かしないともったいないな。私は散らかっていた服をクローゼットに締まったり、洗濯機へ入れたりする。洗濯機を回している間、掃除機を部屋中にかけていった。  玄関まで行くと、片方ヒールがない靴がある。やっぱり夢じゃなかったのかな。私はそのヒールの横にパンプスを出しておいた。 一通りのことをしたあと、そのパンプスを履いて出発する。身体は軽く、前よりも視界が良く見える気がした。電車に揺られ、会社に到着する。  会社に入ると、いつもよりも社員が早く来ている。あれ、今日そんな日だったっけ。焦りから周囲を見回していると、上司と目があった。 「明代さん、丁度良かった。少し話があるんだけど」     
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